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散るを恐れず、咲き誇る

この日、areseさんと、岡山県にある、醍醐桜を撮りに出かけました。

areseさんのアルファロメオで、夜の高速道路を西に向けて疾走。


私、「areseちゃん、どこのインターチェンジで降りるん??」

「そんなもん知らん、ちゃんとナビが案内してくれるわ。」と、いつもの調子のareseさん。

私、「おいおい、ちゃんと地図見て調べてないの??」

「そんなん調べる必要なんかないわい。 ナビで検索したら、醍醐桜は1件しか出てこなかったから、

絶対間違いないわい。」と、いつものドSな、areseさん。


いつものように、お互いなじり合いながら、高速を走ること2時間、ナビから落合インターで降りるようにと、

指示が出て、もうすぐやなと、まだ見ぬ醍醐桜に胸高鳴る二人。


高速を降りて、10分ほど過ぎた時、平坦地の田園風景が広がり、民家がぽつりぽつりある場所の暗闇の

県道で、いきなりナビから、「目的地周辺です、音声案内を終了します。」というアナウンスが流れる。


えっ??て、二人顔を見合わせ、「醍醐桜って、テレビで見たことあるけど、細い峠道を登った、山の頂上にあ

ってんけど・・・」てっ、私が言うと、areseさん、「ナビの設定がおかしかったかな、もう一度設定してみるわ」と、

醍醐桜を検索してみる。

確かに醍醐桜は、一件しかなく、そこに再設定して、案内を再開させたが、到着地点は、後方100mのさっきの場所。

えっ、あの辺にあるのかと、Uターンし、ナビがいう目的地の県道の、ど真ん中で止まり、月の薄明かりを頼りに、

目をこらして桜を探すが、それらしい気配がまったくない。

そうしてるうちに、ふと、横の店舗に目をやると、酒店「醍醐桜」って看板が、アルファのヘッドランプに照らされてる。

二人、顔を見合わせ、こういうオチかと、岡山県の名も知らぬ集落で、途方に暮れる・・・


肝心要のナビがあてにならず、醍醐桜の案内の看板も出てこない道を、ここまで2時間かけて、

何しに来てんねんと、なじり合いながらあてもなく車を走らす。


そうしてるうちに、野球の練習場の土手に桜が沢山あってライトアップされてる場所を発見する、

私、「areseちゃん、もうこの桜撮ってかえろうよ。。。」

「あかん、意地でも本当の醍醐桜にたどり着いたる。」と、強情なareseさん。


そうこうしてるうちに、「そうや、俺のアイホンのナビで調べたらええねん。」と、areseさんが携帯をいじりだす。

「いそろくちゃん、見て見て、後30分くらい走った場所に醍醐桜がある!」と、areseさんが叫び、

二人のテンションは、一気に上がる。


月明かりに照らされた、樹齢千年の満開の醍醐桜を初めて目にしたとき、とてつもないオーラを感じて、感動する。


この老木の下を、ゆっくり一周して、この桜に宿る精霊に、一礼し、手を合わして、

「写真を撮ることをお許しください。」と祈っている横で、せけのareseさは、すでにカメラを三脚にセットして、

撮影を開始している。。。


もうライトアップが終わった時間なので、訪れる人もまばらで、ゆっくり老木と対話しながら撮影することができた。


深夜12時を過ぎる頃、車がぞくぞくと上がってきて、気がつけば、醍醐桜の周囲を、三脚持ってリュック背負った人達が、

ずらりと、取り囲む。

この老木に一礼することなく、フラッシュたいたり、LEDライト照らしたり、この位置なら背景に北斗七星が流れるだの、

月がどうのこうのと、姑息な撮り方を話し合い、いたる所を踏み荒らす。

だれも醍醐桜の真の美しい姿をとらえようとしてるやつなんて一人もいない。

樹齢千年の老木が、ただたんなるコンテスト用の被写体程度にしか扱われてなく、自然の尊厳が無視されている。

なんだか寂しい気持ちになって、areseさんと二人、老木に一礼して、撤収した。

ここに限らず、今、日本の原風景と呼ばれる場所は、こういう状況にあり、人によって踏み荒らされ破壊されて、

結局は、立ち入り禁止になってしまう。


それでも老木は、なにも物言わず、ただ黙って咲き誇っていた・・・



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